役者紹介『君ヲ泣ク』次女 大木実奈(演劇ユニットnoyR)

2016年の大阪公演『君ヲ泣ク』では、実奈ちゃんは三女でした。

この『君ヲ泣ク』シリーズはですね、

三人姉妹が成長することがあります。

ののあざみさんは、2016年では次女を演じ、2020年では長女に成長しました。

今回、実奈ちゃんは次女でございます。

長女、次女、三女。

三人とも、それぞれ、本当に立場と考え方が違う。

三女を演じた時の実奈ちゃんは正義を信じる革命家でした。

2016年の、二十代の実奈ちゃんにはぴったりだなと思ったものでした。

自分を信じて揺るぎない。

だけど今回は、家族を持つ母親。

幼い子供を持つ母親。 

「あんたも自分の息子の、2歳児のちぎれた右手握りしめてみれば分かるわよ」

というセリフを言わねばならない次女。

三人姉妹の中でも、とてもとても複雑な心境と立場。 

こんな重要なことを言わずに隠して軽口叩いて実家の食卓に座っている。

その時に、次女の内面、ちょっと漏れ見える瞬間を入れてみては? と投げかけてみる。

「わかります。いやわかります。めっちゃわかります、頭ではめっちゃ理解しているけれど、じゃあそれ具体的にどうやるんだろうって・・・・・・」

ぬぉぉぉぉおと頭を抱えるけれど、やってのけるのだ。

登場人物が、どう生きているのかを戯曲を読み込んで分析する。

その精度は年々研ぎ澄まされている。

『アイデアル』の時も、ああ、そんなふうに愛を表現するのだなぁと感心したのでした。

新しい役をどんどん獲得していく。

彼女は“自分は人間のことが分からないのだ”ということを分かっている。

分からないから、考える。

だから精度が上がる。

「早く人間になりたぁい」 と、願う妖怪人間たちみたいに実奈ちゃんは思う。

なんだかんだといって、実奈ちゃんとお芝居をはじめてもう8年くらいになるでしょうか。

わたしが演出をはじめてからずっと一緒にお芝居を作っている。

とてもたくさんのことを教えてくれる。

現場の俳優たちから、多くのことを学ぶ。

きっと本人はあまり自覚がないだろうけれど、

稽古場での俳優としての実奈ちゃんの在り方が、

稽古場全体を、作品全体を、ぐっと引き上げていくのです。

今週末に予定していた『君ヲ泣ク』横浜verは中止となりましたが、Plant Mのホームページで『君ヲ泣ク』のテキストが閲覧できます。

https://plant-m.jimdo.com/

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