Plant M、毎回恒例の役者紹介をいたします。
長女の黒木さん。
一番最初の初めましての創作は俳優ではなく、音楽家でした。
2017年のnoyRの『ニーナ会議』だったと思います。なにもかもベストなタイミングで、ベストなピアノがぽろんと聞こえてくるという最高のピアニストです。
俳優が出す音が好きだ、と舞台音楽家の棚川さんが言っていたことってこういう音なんだろうなと思う。
その次は、またまたnoyRの『マッチ売りの少女』ではパフォーマーとしてともに創作。 今回初めて、がっつり俳優としてともに創作いたしました。俳優としては初めてだけど、なんだか初めての感じがしないのです。共通言語がすでにある感じでした。
黒木さんは、情熱の人。
体の奥の奥底、ど真ん中が燃えている。
なんだか地球みたい。
緑と海で覆われているその奥底、核心はマグマ。
真っ赤な情熱。
と、ここまで書いてみて気がつく。
そうだ……さゆりだ……!!
天城越えのさゆりだっっっ……!!
ぽっと、火が着いたらすぐには消えない。
消さない。
じりじりと燃える。
稽古をしていて、ああ、そうだ、そうだったなと思い出す。黒木さんのピアノは、その空間すべてを掌握するピアノだったなと。消えない炎を持っているから、あんなにも舞台全体を包み込めてしまうんだと思い出す。
選べず、決めきれない長女、だけど譲れないたった一点のことをやり抜く頑固さ。
最後まで生き延びる長女。
黒木さんの奥底に燃える炎と、長女の炎が重なる。
通しをして振り返る時に、わたしはいつも(たぶん、どの俳優にも)
「・・・え、ひぐさんそれ、言ってることは分かるけれど、どうやるんすか・・・?」
と、俳優を悩ますことをよく言うようです。
「む・・・・・・むずかしいですね・・・」と、
黒木さんも何度か言葉を失ったことがありましたが、それを、必ずトライする。
自分がたどる道筋をちゃんと見る俳優だと思う。
長女が長く長く語る始まりの言葉があります。
呼吸して、口から台詞が溢れる。
長女である黒木さんの身体が、震える瞬間です。
それは、自らつけた火に自らが焼かれてしまうというような、官能的でさえあります。
そんなシーンじゃ全然ないんだけれど。
人が生きて震えて言葉を発するって、官能的なんだと思う。
黒木さんの言葉は震えていた。
今週末に予定していた『君ヲ泣ク』横浜verは中止となりましたが、Plant Mのホームページで『君ヲ泣ク』のテキストが閲覧できます。
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