『帆、マスク』西成のおいちゃんたちのワークショップ


昨日のワークショップのテキストです。
マスクをしたおいちゃんたちがとてもキュートでございました。
みんなウキウキしながら演じてくれたテキストです。


『帆、マスク』



登場人物


船長

船員1

船員2



        船乗りたちのコロナ。
    みんなマスクが欠かせない。

        船長が座っている。
    と、
    船員1、やってくる。



船員1 船長!

船長  みつ!

船員1 はい、失礼しました。



        船員、2メートルはなれる。



船長  なんだ?

船員1 もう船が進みません。

船長  なぜだ!?

船長1 帆が……帆が張れません!

船長  帆が張れない船など船ではない! まるで馬のいない競馬場のようなものだ!

船員1 このままでは我々はどこにもたどり着けません。

船長  帆がない船なんて、まるで芸者のいないお座敷のようなものだ!

船員1 そうですが船長、

船長  なぜ帆がない、帆はどこにいった!?

船員1 船長!



        船員1、思わず近づこうとして、



船長  みつ!

船員1 失礼しました。

船長  帆はどこにいった!?



        そこへ船員2、やってくる。

        両手に大きなカゴをかかえて。



船員2 せんちょー。

船長  みつ!!!

船員2 ますくできたよー。

船長  ますく?

船員2 たりなかっったから、おれ、つくったよー。

船長  つくった、だと?

船員2 うん、でっかい布があったから。1000人ぶんのますく、おれつくったよ。

船長  聞くが、おまえ……そのでっかい布とは、まさか、

船員1 まさか、



        船長、船員1、見上げる。



船員2 ここにぶらさがってたおっきいやつ。

船員1 帆布……

船長  マスクは……大事だが……

船員1 これが本末転倒というものでしょうか……



        船員1はよろりと、

        船員2はカゴに入ったマスクを見せようと、



船員1 船長……!

船員2 せんちょー!



        船長に近づこうとしたが、



船長 みつ!



        みんな離れた。


                                                            おしまい

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