大阪パンフレット『マハズレ』座談会

一関を終えて大阪公演にむけて。


佐々木 二都市が終わって折り返しだね。

黒田 そうだね。

佐々木 一関ではうちの親が観に来ましたね。俺は山場をなんとか乗り越えた感じかな。お姉ちゃんは来なかったけど。うちのお父さんが病気の話をしてくれて。あと、お姉ちゃんも話してくれなかった、俺もよく知らなかった話を両親がしてくれて。

黒田 その話を聞いて、一応次の日の舞台は、椅子を見る時にお父さんの顔を思い浮かべて踊ったかな。

樋口 椅子に座っている人物が具体的になったんや。

黒田 うんうん。

樋口 琢さんのお父さんとお母さんが観て、「うちの娘はこんなんじゃない!」って言わはったらってどうしようかって思ってたけど、

佐々木 すごく好印象だったよ。東京も来たいって。

樋口 マジで!?

佐々木 ガレージホールはいいところでしたね。

樋口 うん。いいとこ。あの空間が持っている雰囲気っていうのが、

佐々木 その名の通り、ガレージの雰囲気でしたね。

樋口 ああいうところすごくワクワクする。

佐々木 する! 

樋口 倉庫とか大好き。

佐々木 広くてね、それと比べると大阪ってものすごく、キュッとなった感じだよね?

樋口 うん。狭いしカフェやしね。

佐々木 どう見え方が変わるのかな?

樋口 狭い分、二人の細かい視線とか反応とかはすごくよく見える良さがあるかな。

佐々木 そこに注目ですね。

樋口 ガレージホールは絵画みたいな瞬間がたくさんあった。登場人物の2人も含めて風景に見えていて、大阪の場合はお客さんが人物そのものを覗き込めたらいいなと思ってる。

佐々木 あと一関では、明かりも音もすげえ進化したなって思う。まさか照明が動くとは!

黒田 楽日とか、桜井くん(音で)煽ってたよね。

桜井 ここいれたら気持ちいいって場所がね、最後の方分かってきた。自分の中でね。

佐々木 1人の時間を創るのに、音があるからすごく助かってる。

樋口 あそこまで煽ったり音を出したりしたら、音のほうに全部持っていかれる気がするんやけど、飲みこまれなかったよね。

佐々木 たしかに。

黒田 最終日の昼の回、女子高校生が観に来てて、ちょうどお姉ちゃんと同じ年代の子たちで、その子たちにも起こりうる話だなと思って。見ている子たちが自分の話のように考えてくれたらいいなと。なんとか客席を巻き込もうと思って踊ってましたね。

樋口 昼の回はね、真史さんの呼吸と一緒に客席が呼吸している感じがした。

黒田 そうそう。客席を見て、ホントにね、話しかけながら踊っていて、病気の身体が終わって牛乳飲めたときも、「飲めちゃったよ、あたし、どうする?」って話しかけていて、その後、子どもの椅子のところ、腕を振るところも、「頑張れ、頑張れって、一緒に言って」って話しかけてた。

樋口 劇場が呼吸するって瞬間って、お芝居をやっていたらあるなぁと思う。昼はそんな感じがした。

佐々木 大阪は? 

樋口 音と明かりをどうすれば効果的になるか、かな。大阪が一番難しいかも。

佐々木 たしかに狭いぶん、計画的にやらないと。

樋口 繊細さはいるなと。

佐々木 狭いと、ディテールが抜けないから。

樋口 うん、でも一緒に呼吸が出来る瞬間は創れそうな気がするかな。

佐々木 カフェっていうのが、俺は好き。倉庫と同じくらい好き。

黒田 一関の最終日に、ニノと夜中まで話してたんやけど、一関はこっちで待ってても来てくれないなって。舞台でやってても観てくれなくて、なにかしらこっちから巻き込んで出向いていかないといけないなと思ったのね。大阪はどういう人と知り合えるんやろう?。

樋口 一関はお芝居を観る環境をニノが創り始めて今渦が出来始めてる。大阪は、渦はそこここにあって。大阪でお芝居やってる人たちと東京でお芝居やっている人たちって、何かしら繋がっていて、今まで自分が広げてきたものと、大阪がどこで繋がってるのかを見つけるのが、大阪の出会い方のような気がする。知り合いじゃなかったと思っていた人が、イガイと身近な知りあいの知りあいやったとか。何をやるにしても人間関係でしかないから、再発見の場かな。だから琢さんも、「俺は知りあいじゃないけど、王子に来てくれたことあるんすか!」とか。

佐々木 ああ、それはある。すごいあると思う。そうね。なるほど。

樋口 桜井くん、大阪は? 来たことある?

桜井 大阪はまったく、初めて。グリコとか見たいね。

佐々木 あ、見たい! 道頓堀?

樋口 すぐ近くやから行ったらいいよ。

佐々木 じゃ、どっかにグリコのポーズいれる?

黒田、樋口、桜井 入れない!

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