『マイコップ』振り返り

先週、無事に公演が終わりました『マイコップ』
波乱のひぐの日常でございましたが、あらためまして作品そのものの振り返りを。
 
田宮氏からお話があったのは1年前くらいにさかのぼるような記憶。
企画書の前段階のような、田宮くんの思いが文章にしたためられておりました。
ちゃんとしてるなぁ……と、感心です。
20代ってすごい。
夏くらいには、コトリ会議の山本くんからホカホカの戯曲が届いたような記憶。
読み終わって、「わぁ、山本くん的星の王子様だね! 」と興奮して3人のグループラインに送ったけれど、スルーっとスルー。
 
ん? え、あれ?  と不思議な気持ちで顔合わせ。

どうやら二人とも星の王子さまをがっつり読んでいないようで、
ひぐの感動は届かなかったと知る……

ちょっとぶっ飛びなことを言います。
 
名作というものが、何かしらの共通点を持つことはよくある。
私はそれを「アクセス」と呼んでいる。
知らないのになぜか書いてしまう。
自分の考えを超えたなにかが動く。
宮澤賢治もミヒャエル・エンデもサン=テグ=ジュベリも、
みんな同じところにアクセスしている。
そんな場所がある。
と、思っている。
きっと、山本くんもそこにアクセスして書いたんだろうなと思っている。
 
宇宙人には、宇宙人の文化と本能と生態がある。
地球人にもある。
宇宙人と地球人は似ているけれど、相容れないところがある。
本を読めば読むほど、ああ、そうなのね、そうなのねー!
と、為人ならぬ、宇宙人となり(なにこの言葉・・・)
が見えてくるのがとてもとても楽しかった。
 
掘るとたくさん宝が見つかる戯曲。
 
はじめは、仮ペットのコップも手放したくないし、
元彼女にそっくりな自分で改造したカマキリとも暮らしたいという、
宇宙人って身勝手なんだなぁというところから始まる。
けれど、彼が本当は何を求めているのか。
自分でさえもわからない自分があらわれてくる。
 
ねぇ分かるだろう
同じ宇宙に命を持つ者同士であれば
愛するものは一つきりでないとおかしいってことくらい
 
というセリフがとても好き。だけどこの戯曲が、この言葉通りに着地するかというとそうではないところがまたとてもイイのだ。
 
宇宙人の思いはとてもよくわかった。
しかし問題はコップだ。
コップは、なに思うのか。
宇宙人の思いがコップには満ち溢れるけれど、
けれどやはりコップなのだ。
コップは、なに思うのか。
またここで、別の考えが浮かぶ。
人間だって本当のところは、なに思うのか。
同じだろう。
 
地球人だとこだわりたくなる、お互いに思う、は重要ではない。
 
宇宙人は揺るぎないものを掴んだ。
人生をすべて、コップを探し続けることに費やしても惜しくないほどの、彼にとって真実。
その情熱。その思い。
これを幸せと呼んでいい。
滑稽にも見える宇宙人は、見返りなど求めないという愛の姿でもあると思った。
 
ほぼ55分の戯曲。
田宮氏はずっと喋り続ける。
宇宙人の生態と地球人の生態の違いについて話してみたりする。
地球の言葉を理解するのに、一瞬時間がかかるんじゃないか。
言いながら理解していけるんじゃないか。
地球人が思うような感情の流れとは、やっぱりちょっと違うんじゃないか。
なんてことを話したりして。
 
田宮くんは、とにかくまっすぐなのだ。
太陽燦々と。 
 
たとえばラストのシーンで、匍匐前進をすることになって。
それはきっととてもしんどいと思う。
 
「フィギアスケートで、後半にトリブルアクセルとか、しんどい時に、しんどいジャンプを入れるのが美しいと思うねん……」 
 
とか訳のわからないことを言うひぐの言葉に、
 
やってみる。
やってみる。
まだまだやってみる。
さらにやってみる。
そして、まだいけます! と笑う。

これは……何かに似ていると思った。
あ、あれだ……!
白球を追いかける高校野球児……!
(大阪桐蔭おめでとう!)
演劇を追いかける田宮氏……!
 
自分の可能性を追いかけているようにも思える。
追いかけ続けるなら、可能性は拡大していける。
そうだった。
彼は二十代なのだ。
うっかり同い年と思ってしまうが(そんなわけはない)
可能性しかない。
無限の広がりを見るのがとても面白かった。
そして緊張で力む姿もまた、二十代なのだった。
 
一人芝居の面白さと難しさを体験する。
稽古場には一人芝居パイセンの実奈ちゃんがいる。
 
「一人でもやりようがある」という実践者の声は強かった。
 
実奈ちゃんの演目はなんと『星の王子さま』
『マイコップ』と二本立てで観てみたい気分です。
 
ぜひとも再演がしたいと願う樋口です。
その時は入院しないから!!
何度か一緒にクリエイションをした田宮くんだから、オンラインでもできたのだなと思う。
本当にお世話かけました。ありがとう。
けれどやっぱり対面で、もっと細かくこの戯曲の宝物を見つけ出していきたいなぁ。
 
田宮くん、声をかけてくれて本当に本当にありがとうございました。
 


コメント